カテゴリ:業界ニュース / 投稿日付:2024/11/29 09:01
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「令和6年版 土地白書」公表!~人は中心地目指して移動する~
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2024年6月18日に、「令和6年版 土地白書」が国土交通省から公表されました。日本における土地の現状、今後土地について政府がどのような施策を講じていくのかがわかるこの白書のデータから、日本の土地の状況について見てみましょう。
地価は緩やかに上昇
「土地白書」は土地基本法の規定に基づいて、土地に関する情報や、政府が土地について講じた基本的施策、ならびに土地に関して、これから講じようとしている施策の基本的な姿勢についてとりまとめ、国会に報告しているものです。
まず、この「土地白書」から、地価の動向を見てみましょう。令和6年の土地白書に掲載されている最新データは2024年1月1日時点の地価です。ざっと見ると、全国の全用途平均が、令和5年比で2.3%の上昇となり、3年連続で上昇率が拡大しています(図表1)。日本の景気が緩やかに拡大していることが、上昇率の拡大につながっています。もちろん、上昇率は住宅地か商業地か、三大都市圏か地方かによって差はありますが、総じて上昇傾向が続いています。
東京ならびに各県の中心地に人が集まる傾向が強まっている
図表1で、全用途平均を見ると、三大都市圏のなかでも、とりわけ東京圏の上昇率が高いのは当然としても、地方四都市が7.7%という非常に高い上昇率を示しています。それとともに、それ以外の地方都市でもわずかながら上昇率が拡大しています。
また土地白書には、土地取引件数の推移が示されていますが、地価が全国的に上昇している一方で、土地取引件数自体は横ばい、ないしは若干減少傾向にあります(図表2)。これは三大都市圏に限ったことではなく、地方圏についても当てはまります。
なぜ土地取引件数が減少ぎみなのかというと、理由は2つ考えられます。1つは地価の上昇によるものであり、もう1つは主だったところの開発が一通り済んだからでしょう。
住宅地に関して言うと、特に最近は利便性の高い地域に人気が集まっています。
これは人口動態などと組み合わせて見るとわかるのですが、地方都市においても明らかに人(住まい)は中心地に向かって移動しています。札幌や仙台、広島、福岡といった、地方都市のなかでも大都市といわれる場所はもちろんですが、たとえば福井県や大分県など、大都市を持たない県においても、各県のいわゆる中心地とみなされる場所に、人が移動しています。
その最大のケースが、日本全国から人を集めている東京、ということになります。
このように、東京を中心にして各県の中心地に人が集まる傾向が、これからも続いていくでしょう。人口減少が続く限り、この傾向が止まることはないと見ています。
振り返ると、新型コロナウイルスの感染拡大によって、一時的に地方、郊外が見直される動きがありました。2020年から2021年にかけては、特にその傾向が見られましたが、現在、東京都心部のオフィス出社率が70%を超えていることからすると、「東京から地方に生活の拠点を移し、リモートワークで仕事をする」というライフスタイルは、いささか現実的ではなかったようです。
こうした点からも、ますます将来に向けて、東京をはじめとした中心地への人の移動は続くものと考えられます。
海外投資家による日本の不動産への投資意欲はピークアウト!?
もう1つ、データで注目したいのが、「海外投資家の不動産投資額の推移」です。これはジョーンズラングラサール社の公表資料をベースにして国土交通省が作成したものですが、海外投資家の不動産投資額が、令和2年(2020年)をピークに3年連続で減少していることがわかります(図表3)。しかも、取得額が減少するのと同時に、売却額が増加しているのです。海外投資家による購入は、日本の不動産市況の押し上げ要因の1つでしたが、今後は少し低迷するかもしれません。
その理由は日本の金利上昇と円高です。これまで海外投資家による日本の不動産投資が活発だったのは、円の調達金利が低いことに加え、円安によって日本の不動産に割安感が強まっていたことが要因でした。
しかし、7月31日の日銀金融政策決定会合において、今後、政策金利を0.25%程度まで引き上げる方針が打ち出されました。その結果、円の調達金利が上昇するのと同時に、円安が修正される可能性も高まっています。海外投資家にとっては、これまで日本の不動産投資が有利だった条件が、逆転してしまう恐れが高まっているのです。
基本的に海外投資家の大半は、年金や保険会社、投資会社などの機関投資家が中心です。彼らは大きな資金を運用するので、投資先となる不動産はオフィスビルなどの大型物件がメインになります。そのため、大型物件を中心に売り圧力が強まると思われます。
ただし、そのことによってオフィスビルの市況が悪化するのかといえば、そうとも言い切れません。
ザイマックス総研の「大都市圏オフィス需要調査2024春」によると、今後2~3年程度先までのオフィス面積について、「拡張したい」と答えた企業が19.2%で、「縮小したい」と答えた企業の5.1%を上回っています(図表4)。
また、ここ直近、オフィス賃料が上昇し、空室率が低下していることからすると、オフィスに対する需要は堅調であり、海外投資家の売り圧力が多少強まったとしても、相場が大きく崩れるようなことにはならないと見ています。
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