カテゴリ:業界ニュース / 投稿日付:2024/09/27 09:03
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令和6年度土地・住宅税制改正のポイント
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令和5年12月22日に閣議決定された令和6年度税制改正大綱を受け、本年3月税制改正法案が可決成立しました。不動産関連の税制改正をピックアップして解説していきます。
住宅ローン控除
1. 子育て世帯および若者夫婦世帯の控除対象借入限度額の拡充
令和6年限りの措置として、子育て世帯および若者夫婦世帯(子育て特例対象個人※1)における控除対象借入限度額について、図表1のとおり、新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1,000万円の借入限度額の上乗せ措置を講ずる。
※ 1《子育て特例対象個人》
・年齢40歳未満で配偶者を有する者
・年齢40 歳以上であるが、40 歳未満の配偶者を有する者
・年齢が40歳以上であるが、年齢19歳未満の扶養親族を有する者
2. 新築住宅の床面積要件の緩和の延長
合計所得金額1,000万円以下の場合には、床面積40㎡以上50㎡未満についても適用できる措置について、令和6年12月31日以前に建築確認を受けた新築建物についても対象とする。
既存住宅リフォームに係る税額控除
1. 子育て対応改修工事の税額控除の創設
子育て特例対象個人(上記1参照)が、一定の子育て対応改修工事※2(図表3)をして令和6年4月1日から12月31日までの間に居住した場合、標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額を所得税額から控除できる(図表4)。
なお、その年分の合計所得金額が2,000万円を超える場合には適用しない。
※ 2《子育て対応改修工事》
標準的な工事費用相当額(補助金控除後)が50万円超などの要件を満たす下記の工事をいいます。
① 住宅内における子どもの事故を防止するための工事
② 対面式キッチンへの交換工事
③ 開口部の防犯性を高める工事
④ 収納設備を増設する工事
⑤ 開口部・界壁・床の防音性を高める工事
⑥間取り変更工事(一定のものに限る)
2. 住宅耐震改修特別控除
適用期限を令和7年12月31日まで2年延長する(図表4)。
3. 特定の改修工事(バリアフリー・省エネなど)に係る税額控除
適用対象者の合計所得金額要件を2,000万円以下(現行:3,000万円以下)に引き下げた上、適用期限を令和7年12月31日まで2年延長する。
また、対象となるエアコンの省エネ基準達成率を変更する(図表4)。
認定住宅等の新築等をした場合の所得税額の特別控除
認定住宅等の新築等をした場合に、認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10パーセントに相当する金額を、その年分の所得税額から控除することができる特例について、適用対象者の合計所得金額要件を2,000万円以下(現行:3,000万円以下)に引き下げた上、適用期限を令和7年12月31日まで2年延長する。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
1.期限の延長
父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは500万円(省エネ等住宅の場合には1,000万円)までの金額について、贈与税が非課税となる特例について、令和8年12月31日まで3年延長する。
2.新築の省エネ等住宅の要件の厳格化
非課税枠が1,000万円となる新築の省エネ住宅の要件を省エネ性能が断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(現行:断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上)であることとする(図表5)。
令和6年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。ただし、新築住宅のうち次のものについては、現行の要件と同様とする。
①令和5年12月31日以前に建築確認を受けているもの
②令和6年6月30日以前に建築されたもの
特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例(親の年齢が60歳未満でも適用できる)の適用期限を令和8年12月31日まで3年延長する。
買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置の延長
宅地建物取引業者により一定の質の向上のための改修工事が行われた既存住宅を取得した場合に、買主に課される登録免許税の税率を一般住宅特例より引き下げる措置を令和9年3月31日まで3年延長する(図表6)。
その他不動産税制の延長項目
1.印紙税
不動産の譲渡に関する契約書に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を令和9年3月31日まで3年延長する。
2.固定資産税
①負担調整措置
土地に係る固定資産税について、現行の負担調整措置および市町村等が一定の税負担の引き下げを可能とする条例減額制度の適用期限を令和9年3月31日まで3年延長する。
②新築住宅に係る固定資産税の減額
・新築住宅の建物について3年間(マンション等の場合5年間)の固定資産税が1/2となる特例を令和8年3月31日まで2年延長する。
・認定長期優良住宅の建物について5年間(マンション等の場合7年間)の固定資産税が1/2となる特例を令和8年3月31日まで2年延長する。
③既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームに係る固定資産税の特例措置
令和8年3月31日まで2年延長する。
3.不動産取得税
・不動産取得税の課税される宅地を1/2とする特例措置、住宅および土地の税率を4%から3%とする特例措置を、それぞれ令和9年3月31日まで3年延長する。
・新築住宅特例が適用される住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200㎡を限度)相当額等の減額)について、土地取得後から住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置を令和8年3月31日まで2年延長する。
・宅地建物取引業者等が取得する新築住宅を新築の日から1年(本則6月)とみなす特例措置を令和8年3月31日まで2年延長する。
4.登録免許税
下記登記による軽減税率を、令和9年3月31日まで3年延長する。
・居住用家屋の所有権の保存登記 0.15%(本則0.4%)
・居住用家屋の所有権移転登記 0.3%(本則2%)
・住宅取得資金の抵当権設定登記 0.1%(本則0.4%)
・特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の軽減措置を令和9年3月31日まで3年延長する。
・特定低炭素住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の軽減措置を令和9年3月31日まで3年延長する。
5. 居住用財産の買換え等に係る特例措置(所得税・住民税)
・居住用財産の買い換え特例の適用期限を令和7年12月31日まで2年延長する。
・居住用財産の譲渡損失の特例の適用期限を令和7年12月31日まで2年延長する。
・居住用財産の買い換えに係る譲渡損失の特例の適用期限を令和7年12月31日まで2年延長する。
・特例居住用財産の譲渡損失の特例の適用期限を令和7年12月31日まで2年延長する。
令和6年からスタートする税制
令和6年税制改正ではないですが、以前の税制改正により令和6年から適用される税制は次のとおりです。
1.空き家の3,000万円控除の要件の緩和
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)で、その家屋を取り壊して譲渡するか、家屋ごと譲渡する場合には、譲渡のときにおいて、耐震基準に適合することの要件を、譲渡の翌年2月15日までの間に該当すれば適用されることとする。
・譲渡する不動産を取得した相続人の数が3人以上である場合には、特別控除額を3,000万円ではなく2,000万円とする。
2.生前贈与
①暦年贈与の生前贈与加算の対象期間の変更
相続直前にした暦年贈与について相続税課税の対象にする制度(生前贈与加算)について、令和6年から7年以内(令和5年以前は3年以内)の生前贈与まで対象になります。
なお、延長された4年間(相続開始前7年以内のうち直前3年以外)に贈与された財産については、合計額から100万円を控除した残額が相続税の課税対象になります。
②相続時精算課税制度の110万円控除
令和6年1月1日の相続時精算課税制度による贈与から年110万円の控除ができるようになりました。
年間110万円以内の相続時精算課税制度による贈与であれば、贈与税の申告もいらないし、相続直前の贈与(たとえ7年前のもの)でも相続税が課税されないことになります。
3. 特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例の届出要件の追加
令和6年4月1日以後、特例を受ける場合(同一年に譲渡資産の譲渡と買換資産の取得をする場合に限る)には、譲渡資産の譲渡日(買換資産の取得日が早い場合には、その取得日)を含む「3月期間※3」の末日の翌日から2ヶ月以内に、この特例を受ける旨等の届出書を税務署長に提出することが必要になります。
※ 3 「3 月期間」とは、1 月1 日から3 月31 日まで、4 月1 日から6月30 日まで、7 月1 日から9 月30 日まで、10 月1 日から12 月31日までの各期間をいいます。
4.マンションの相続税評価の見直し通達
マンションの建築時期や購入時期にかかわらず、令和6年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価について、相続税評価が時価の6割を下回った場合には、6割(一戸建ての評価水準の平均値)に修正されることになります。
対象となるのは、一室ごとに売買できる分譲マンションで、タワーマンションから小規模マンションまで幅広く影響を受けます。全国どこでも適用されることに注意が必要です。
なお、1棟で所有している賃貸マンションやアパートは対象外です。ただし、1棟の賃貸マンションでも区分登記されていれば対象となります。
相続税評価の計算は、「築年数」、「総階数」、「所在階」、「敷地持ち分」の観点から行われ、評価乖離率に基づいて時価60%を下回る場合、60%まで下回らない場合、時価を上回る場合に分けて修正されます。
評価が下がる場合もありますが、相続税が上がるケースのほうが多くなると予想されます。
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本日は以上となります。
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