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第48回「不動産投資家調査」から不動産に対する“プロの見方”を読む
カテゴリ:業界ニュース  / 投稿日付:2023/10/27 09:25

第48回「不動産投資家調査」から不動産に対する“プロの見方”を読む

 

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第48回「不動産投資家調査」から不動産に対する“プロの見方”を読む

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2023年5月に、「不動産投資家調査」(一般財団法人 日本不動産研究所)が公表されました。デベロッパーや商業銀行、不動産賃貸業といった不動産のプロを対象とした調査ですが、その結果から現下の不動産市況の動向を彼らがどうとらえているのかを見てみましょう。

 

多くの物件においてキャップレートが低下している

 

 この「不動産投資家調査」には、アセットマネジメント会社、デベロッパー、商業銀行、投資銀行、生命保険会社、不動産賃貸業などへのアンケート調査に基づいたキャップレート動向が示されています。

 キャップレートとは、不動産に投資している側が、「このくらいの利回りは欲しい」と考えている期待利回りのことです。この数字の変化は、不動産投資の意欲を測る指標であり、これが上昇しているときは不動産価格が下落していることを示すので「弱気」、低下しているときは不動産価格が値上がりしていることを示すので「強気」になります。

 物件の違いによるキャップレートの動向を見ると、Aクラスのオフィスビルは、京都と広島で0.1ポイント低下しましたが、東京・丸の内・大手町をはじめとする多くの調査地区は、前回比で横ばいでした。

 

表1

 住宅は東京・城南のワンルームタイプとファミリータイプが前回比で0.1ポイント低下して、1999年4月にこの調査が開始されて以来、最低水準を更新しています。ちなみにファミリータイプのキャップレート低下は、多くの地方都市でも見られました。

 

表2

 

 商業施設は、都心型高級専門店のうち銀座の数字で0.1ポイント低下。コロナ明けによる人流回復が背景にあると考えられます。また、それ以外の調査地区では前回比横ばいでした。

 

表3

 

 物流施設は東京(江東区)で前回比0.1ポイント低下し、この調査が開始されて以来、初めて4%を割り込んだものの、他の調査地区は前回比横ばい。

 

表4

 

 そしてホテルは、札幌や名古屋、大阪、那覇で0.1ポイント低下しました。ここでもコロナ明けの人流回復の動きが見られます。

 

表5

 

賃貸住宅のキャップレートは最低水準を更新した地域も多い

 

 投資家の投資意欲という観点で注目したいのが、賃貸住宅の動向です。相変わらず強気です。

 ワンルームタイプの賃貸住宅(25~30㎡、築5年未満、駅徒歩10分以内)のキャップレートは、調査地区である全国10カ所の主要都市のうち、東京城南地域、名古屋、大阪、広島で0.1ポイント低下し、それ以外の調査地区は横ばいでした。

 ちなみに前回調査時は、8都市で最大0.3ポイント低下したので、全国的には、ほぼ横ばいです。

 東京城南地域とは、目黒区、世田谷区など、渋谷駅・恵比寿駅へ電車で15分圏内の地区を想定していますが、この地区におけるキャップレートは3.8%まで低下しました。これは、同調査が開始されて以来、最低水準の更新となります。

 また、ファミリータイプの賃貸住宅(50~60㎡、築5年未満、駅徒歩10分以内)でも、東京城南地域は、前回調査の4.0%からさらに低下して3.9%となりました。これも調査開始以来、最低水準の更新です。

 

 

実勢の取引利回りはキャップレートを下回る状態に

 

 さらに注目したいのは、キャップレートと実際の取引利回りのギャップです。キャップレートは、あくまでも期待利回りであり、実際の不動産市場で取引される際の利回りと常に一致するとは限りません。

 たとえば城南地域のワンルームマンションを事例に挙げると、キャップレートが3.8%であるのに対し、実勢レートは3.5%でした。またファミリータイプでも、キャップレートが3.9%であるのに対し、実勢レートは3.6%となっています。この傾向は東京城東地域でも見られますし、大阪など主要大都市においても、実勢レートがキャップレートを下回る状態にあります。

 このように、実勢レートがキャップレートを下回るのは、それだけ不動産投資家が強気であることの証拠です。なぜなら、期待されている利回りに達していなくても、物件を購入していることになるからです。それだけ多くの資金が、賃貸市場を中心に流入していることを意味します。

 では、この強気はいつまで続くのでしょうか。

今回の調査では不動産の専門家に対して、不動産への新規投資意欲に関するアンケート調査も行われました。

 それによると、「今後1年間の不動産投資に対する考え方」の項目の回答として、「新規投資を積極的に行う」という回答が96%もありました。これは前回調査に対して1ポイントの上昇で、過去最高を更新しました。一方、「新規投資を控える」という回答は3%で、前回調査に比べて2ポイント低下しています。

 この活況ぶりから、一部では「バブルではないか」という声も聞こえてきます。しかし、日本銀行は植田新総裁のもと、当面の間は金融緩和政策を継続する意向を示しているだけに、まだしばらく国内不動産市場の活況は続きそうです。

 

 

 

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本日は以上となります。

 

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