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令和2年国勢調査確報値から見た家族類型の変化と住宅ニーズの今後
カテゴリ:業界ニュース  / 投稿日付:2022/02/25 09:10

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令和2年国勢調査確報値から見た家族類型の変化と住宅ニーズの今後

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人口は減少傾向が続くも世帯数は大幅に増えている

 

 ご存じのように国勢調査は5年に一度行われるもので、あらゆる国内の統計データの基本ともいうべきものです。

 それによると、2020年10月1日時点における全国の人口は1億2,614万6,000人で、前回調査である2015年に比べて94万9,000人減少しました。ちなみに2010~2015年調査では、1920年の調査開始以来、初の人口減少になったことが話題となりましたが、その傾向は今回も続いていることになります(図表1、図表データはいずれも「令和2年国勢調査」より)。

 国勢調査の数字は当然、今後の不動産動向を考えるにあたって参考になります。

 まず住宅需要は、人口よりも世帯数で決まる傾向が強く見られます。2020年の総世帯数は5,583万154世帯で、2015年より238万1,469世帯上回りました。ちなみに2005年の世帯数は4,956万6,305世帯ですから、この15年間で世帯数が大幅に伸びていることがわかります(図表2)。

 総世帯数の伸び率を計算すると、2005~2010年が4.8%増、2010~2015年が2.9%増、2015~2020年が4.5%増でした。前回調査、今回調査と日本の総人口は減っているにもかかわらず、逆に世帯数は増えているのです。

 世帯数が増えれば、当然のことですが、住む家が必要になりますので、賃貸でも持ち家でも、基本的に不動産市場にとってはポジティブ要因といってもいいでしょう。

 ちなみに、これを都道府県別に見ると、総世帯数が増加傾向をたどるなか、4つの県で世帯数が減少しました。減少率の高い順に挙げると、高知県が−1.2%、秋田県が−1.0%、長崎県が−0.4%、山口県が−0.02%でした。

 では、全体としてはどうして人口が減少しているのに世帯数は伸びているのでしょうか。

 

 

 理由はとしては、核家族化が進み、とくに単身世帯が急増しているからです。

 2015~2020年で見ると、1世帯あたりの人員が増えた都道府県は1つもありません。しかも、東京都はすでに2人を切っており、またそれ以外の都道府県でも2人台です。つまり平均すると、夫婦に子供1人という家庭すら、少数派になってきたということです。

 これに対して近年、大きく伸びているのが単独世帯というわけです。ちなみに東京都の1世帯あたり人員は1.92で、47都道府県のなかで最も低い数字になりました。それだけ東京都内で単独世帯の増加が著しいことを、この数字は示しています。

 全国で見ても、単独世帯は2,115万1,042世帯で、これは一般世帯のうち37.96%を占めています。しかも過去の増加率を見ると、2005~2010年が16.09%増、2010~2015年が9.73%増、2015~2020年が14.83%増となり、この10年で単独世帯の増加ペースが速まっているのがわかります。


 

 

 

  

 








単独世帯の増加から見えてくる賃貸住宅へのニーズのトレンド

 

 このように単独世帯が増加傾向をたどっている理由は、いくつもあります。

 まず、夫婦のみの世帯が増えていること。子供たちがいても、その子供たちが結婚した後は親との同居生活を選ばないことが多くなったために夫婦だけの世帯が増えているといえるでしょう。そしてその世帯が高齢化し、夫か、妻が亡くなれば、単独世帯になる確率は非常に高くなります。その場合、2021年7月に公表された日本人の平均寿命は、女性が87.74歳、男性が81.64歳で過去最長となりましたので、やはり平均寿命の長い女性が一人残るケースが多いようです。

 次に結婚しない人が増えていることも要因といえるでしょう。最新の国勢調査によれば、生涯未婚率(50歳時点未婚率)は男性が26%、女性が16%と、近年急増しています。近い将来、男性は3割、女性は2割を超える見込みのようです。

 さらに、離婚が増えていることも世帯数増加の一因といってもいいでしょう。「ひとり親と子供から成る世帯」だけでも、2015年の474万7,976世帯に対し、2020年は500万2,541世帯へと増えました(図表3)。

 このように世帯数の増加と、その中身を見ると、これから先の住宅需要の形がおぼろげに見えてきます。

 高齢者の単独世帯は、人にもよりますが、高齢者施設に住み替える人も少なくないので、賃貸などの不動産市況への影響はそれほどでもないと推察されます。

 一方、生涯未婚率の上昇に現れているように、生涯独身という人が増えており、それが住宅需要に変化をもたらす可能性が高いといえそうです。

 これらを踏まえて考えると、賃貸市場は当面の間は堅調でしょう。単身世帯の持ち家率は、家族世帯に比べると低く、その分、賃貸マンション・アパートに住む人が多いうえ、また離婚した人が家を出て、一時的に腰を落ち着けるにしても、賃貸に住むというのが普通のパターンだからです。

 それと同時に、生涯独身で暮らすことを決めた人は、所得水準にもよりますが、大きめの部屋を借りる傾向があります。といっても3LDKや4LDKといったファミリータイプの物件ではなく、1LDKでも広いリビングのある1ベッドルームの賃貸マンションなどです。したがって、今後はこうした物件へのニーズが、単独世帯の増加に伴って盛り上がってくると見ています。

 

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本日は以上となります。

 

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次回もどうぞお楽しみに!

 

 

   

 

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