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新設住宅着工戸数2022年の振り返りと2023年の展望
カテゴリ:業界ニュース  / 投稿日付:2023/03/31 09:20

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新設住宅着工戸数2022年の振り返りと2023年の展望

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国土交通省の「建築着工統計調査報告」には、「新設住宅着工戸数」というデータがあります。今回は、持ち家・貸家・分譲住宅といった分野別に新設住宅着工戸数がどう推移しているかを見て、住宅需要が今後どうなるか考えてみましょう。

 

絶好調な賃貸住宅と不振を続ける持ち家

 

 今年1月末、国土交通省が2022年12月の「新設住宅着工戸数」を発表しました。これにより、2022年12カ月分の新設住宅着工戸数が出そろったことになります。では、2022年中に新しく建てられた住宅は、これまでと比べて増えたのでしょうか、それとも減ったのでしょうか。

 ざっくりとその傾向を言うと、「絶好調な賃貸住宅」と「不振の持ち家」が鮮明化した、そういう1年だったと考えています。

 分野別に新設住宅着工戸数の前年同月比(図表1)を見ると、持ち家は2021年12月から2022年12月まで、すべてマイナスでした。とくに2022年6月以降は不振を極め、前年同月比で2ケタのマイナスを続けています。ここで言う「持ち家」は、自分で土地を探して購入し、その上にハウスメーカーなどに依頼して家を建てるケースを指しています。

 これに対して貸家は、2021年3月から2022年12月まで、22カ月連続で前年同月比がプラスでした。

 2022年の1年間で、新しく建てられた家の戸数と前年比を見ると、持ち家は25万3,287戸でマイナス11.3%であり、貸家は34万5,080戸でプラス7.4%となりました。

 なお、持ち家ではなく分譲住宅は、合計が25万5,487戸で前年比プラス4.7%でした。ここでいう分譲住宅には、分譲戸建てと分譲マンションが含まれています。

 そして、給与住宅(社宅・官舎等)を含めたすべてを合計すると、着工戸数は85万9,529戸となり、前年比でプラス0.4%となりますから、ほぼ前年並みということになります。

 

 







建築工事費上昇の影響が持ち家の需要を低迷させている

 

 では、なぜ持ち家が絶不調だったのでしょうか。

 持ち家の前年比を過去にさかのぼってみると、2021年のそれはプラス9.4%でした。着工戸数は28万5,000戸を超えていたのです。

 また、そのさらにその1年前、つまり2020年の前年比は9.6%のマイナスで、着工戸数は26万1,088戸でした。ちなみにこの時期は、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な状況であり、前年比で9.6%のマイナスは当然とも言えるのですが、問題は2022年の着工戸数が、コロナ明けで経済活動が活発化してきたにもかかわらず、2020年を下回っている点にあります。

 たしかに、2021年の着工戸数がプラス9.4%の伸びだったので、2022年のマイナス11.3%は反動減だったようにも見えるのですが、着工戸数が2020年よりも少ないことを考えると、これは反動減だけでは説明できないほど落ち込んでいると考えられるのです。

 何が低迷の原因だったのでしょうか。おそらく物価上昇の影響だったのではないかと推察します。建設工事費の動向を示す建設工事デフレーター(住宅総合、月次、2015年基準)(図表2)を見ると、2017年から緩やかながら上昇していたのが、2021年以降、急角度で上昇しているのがわかります。2022年秋口から上昇幅が縮小して、上昇そのものは頭打ちになりつつありますが、そこから下がる気配が見られません。いわゆる高止まりの状態にあります。

 建設工事費の上昇が続いたのは、「ウッドショック」と言われた、木材需給のひっ迫が原因の1つであると考えられます。

 

 




単身世帯の増加を背景に賃貸住宅に対する強いニーズは続く

 

 2023年の持ち家新規着工戸数がどうなるかを考えると、まず物価が今より大きく下がることは想像しにくいので、建設工事費の高止まりが影響することになるでしょう。

 加えて、金利の動向も気になります。「金利が上昇するかもしれない」という程度だと駆け込み需要が期待できるものの、明確に住宅ローン金利が上昇に転じると、持ち家志向がややネガティブになります。

 

 そのため、おそらく2023年の持ち家新規着工戸数は2022年を下回るほど悪くなり、25万戸を割り込む恐れさえあると見ています。

 一方、貸家ですが、こちらは絶好調がしばらく続きそうです。単身者世帯の増加などを背景にして、賃貸物件に対するニーズが高まっているからです。基本的に単身者世帯は一戸建てには住まないので、単身者世帯が増えれば増えるほど、持ち家に対するニーズは落ち、逆に賃貸物件に対するニーズは高まります。こうしたニーズをくみ取るために、投資物件として貸家を建てる動きが活発化していると考えられます。

 投資物件に対する引き合いの強さは、キャップレート(投資家の期待利回り)を見ればわかります。東京の城南エリアのワンルームマンションのキャップレートを見ると3.9%まで低下してきました(図表3)。キャップレートが4%を切ったのは、初めてのことです。

 キャップレートの低下は、それだけ価格が上昇していることを意味しますから、つまり不動産への投資熱が高まっていることになります。キャップレートと、リスクフリーレートである10年国債利回りとのイールドギャップ(投資利回りと長期金利との差)が縮小すると、不動産の投資妙味が薄れますが、現状、10年国債利回りの上昇はごくわずかなので、不動産の投資意欲が大きく後退することはないと見ています。2023年も引き続き、貸家の新規着工戸数は堅調に推移するでしょう。

 

 





 

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本日は以上となります。

 

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次回もどうぞお楽しみに!

 

 

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